初年次ゼミとして, 表題のゼミを開講します. 意欲のある駒場生の参加を期待します.
コンピュータ(プログラミング)を使って, 数学や物理の問題を解く方法を学びます. そうすることを通してプログラミングと数学・物理の両方を学びます.
実際の問題は,いくつかの例・テンプレートを提示し, グループに別れて解法や,問題の発展形や一般化などについて議論します. それと並行して,プログラミングの基本について,演習します 最後に,お互いが解いた問題について発表しあう,発表会を行います. 途中でも,グループの間でのアイデア交換や進捗状況の共有のため, ミニ発表会を行います.
これら全体は,大学以降の理系の勉強のかなり大きな部分を占めるもので, わずか13回やそこらの授業で,網羅的に扱うことができるものではありません. このゼミは,決められた特定の知識を深く習得することよりも, 実世界に根ざした問題の解決に数学,物理,そしてコンピュータがどう役立つかを 知ること,それを,教員 -> 学生の一方的な講義ではなく, 参加学生の間の議論や発表を通して, 主体的に学ぶという,そのプロセスに主眼をおきます.
重要なことは,「実世界の問題はほとんど常に難しい」ということです. 学校で習ったことだけで直ちに答えが出ることは殆ど無く, それは大学の授業をマスターしたしても同じことです. また実世界では,学校の勉強のように単元に分かれていて, ある問題がどの単元に出ているかによって取り出すべき法則や公式が想像できる, というようなこともありません.
その状況で重要なことは何でしょうか? 個々の分野の基礎的な勉強をおろそかにしてはいけませんが, 残念ながらそれだけだとなかなか実践的な,役に立つ, 問題解決能力は身につきません.
愚直ですが「基本に立ち返って自分で考えられる」 ことが大事だろうと思います.また,同じ理由で, ある問題が自分一人であっさり解決,ということもあまりないので, 他の人と知恵を出し合えることも重要です. 他の人と議論するためには嫌でも「基本に立ちかえる」必要があります. 「なぜそうするのか,なぜそのやり方でいいのか」という疑問に対して, 「教科書のあそこに書いてあった公式だから」では,通用しません. 議論は,自分が本当にどれくらいわかっているかがわかるきっかけになります.